Date:2026.07.08
【開催終了】地域をくくる、未来をたぐる研修会
人手不足・災害リスクに立ち向かう、これからの多職種連携と組織のカタチ
開催報告(参加者数:70人)
医療・介護現場における「今そこにある危機」に地域一丸で立ち向かうため、特定非営利活動法人 CCL主催による2026年度第1回の全体研修会を開催いたしました。当日は、地域の最前線で活躍する医療・介護従事者や行政関係者など、計70名の皆様にお集まりいただき、熱気あふれる議論が交わされました。
本記事では、当日のプログラム概要とともに、デジタルフォームを用いて実施したリアルタイムアンケートの分析結果を詳しくご報告いたします。
1. 開催概要
-
日時:2026年07月07日(火) 19:00~20:40
-
会場:釧路市生涯学習センターまなぼっと 多目的ホール
-
参加人数:70名(医療・介護従事者、行政関係者等)
-
主催:特定非営利活動法人 CCL
2. 研修会の構成と要旨
単なる講義形式にとどまらず、「現状の危機感の共有」「先進事例からのインプット」「多職種によるアウトプット」を連動させた3部構成で実施しました。
【第1部】基調報告:データから見る釧路の「現場の悲鳴」
CCLが事前に実施した調査結果をもとに報告を行いました。ベッドが空いていても人手不足で受け入れられない(受け渋り)という深刻な実態、在宅・訪問系サービスの崩壊危機、新人育成の余裕喪失といった負の連鎖を具体的な数値で提示し、地域全体が一枚岩となって取り組むべき課題であることを共有しました。
【第2部】事例提供:「時代背景からの人材確保と生産性向上」
-
講師:社会福祉法人扶躬会 特別養護老人ホームぬさまい 施設長 小池 文一郎 氏
深刻な担い手不足という時代背景を踏まえ、小池氏の組織における具体的な人材確保の工夫や、ICT・外部サービスを柔軟に取り入れた業務生産性向上の実践的な事例をご提供いただきました。
【第3部】グループワーク:最小限の連絡ルールの検討
デジタルフォームを活用して参加者それぞれの「求人におけるお困り度」をリアルタイムで可視化。限られた人員のなかでケアの質を落とさずに業務負担を減らすため、「最小限の連絡ルール」はどうあるべきかについて、職種の垣根を越えた活発なディスカッションが行われました。
3. アンケート分析:深刻化する現場の実態(有効回答:39件)
グループワーク内で実施したリアルタイムアンケートから、地域の医療・介護現場が直面している切実な現状が浮き彫りになりました。
① 人材求人における「お困り度」の定量評価
自院・自所における求人の厳しさを5段階(5:非常に困っている ~ 1:全く困っていない)で評価してもらったところ、平均値は「約3.18」となりました。 特筆すべきは、全体の約49%(19名)が「レベル4」以上の強い課題感を抱えている点です。
-
レベル5(非常に困っている):7名
-
レベル4(困っている):12名
-
レベル3(どちらとも言えない):8名
-
レベル2(あまり困っていない):5名
-
レベル1(全く困っていない):7名
② 自由記述から読み解く3つの構造的課題
数値の背景として、自由記述では各現場からのリアルな悲鳴が寄せられました。これらは大きく以下の3つに分類されます。
1. 極限まで進む「スタッフの高齢化」と「世代交代の不全」
-
「最高で79歳の介護職員がいる・定年後の再雇用が当たり前」
-
「今は充足しているが、60歳を超えている、または近い職員がいるので、その後はどうなるのか…。7割は40代後半以上。」
-
「管理職の年代が少なく、40歳代も少ないと感じる。」「20代のスタッフが少ない。」
2. 地域特性を伴う「慢性的な採用難・応募ゼロ」の常態化
-
「ハローワークの募集ではほとんど応募はない状態でしたが半年以上かかり、やっと1人入職してくれたところです。」
-
「本社で新卒採用を行っているが、地方店舗への配属が少なく、中途採用でもなかなか採用ができない。」
-
「都市部に集中し釧路へは就職として選択されなくなってきた。」
3. 「人材の質」の低下と「育成・受け入れ体制」の限界
-
「充足度は95%程度ですが、新規入職者の介護職の質が低下しているように感じている。」
-
「若い世代や中堅世代の離職が多い。新人が来ても指導できる人材が少ない。」
-
「業務時間の希望があるため、なかなか希望にそえないため人手不足になる。夜勤とか。」
4. 解決への糸口:多職種連携から生まれた「気づき・学び」
小池氏の事例発表や多職種でのワークを通じ、従来の採用手法に縛られない、新しい解決への方向性が数多く見出されました。
①「スキマバイト(タイミー等)」の戦略的活用
有資格者以外の業務を上手に切り出す手法は、多くの参加者に大きな衝撃とヒントを与えました。
-
「タイミーを利用して人材確保することができると言うのは良いと思った。薬剤師での雇用は難しいが、事務員の雇用などでできることがあるのではないかと思った。」
-
「突発的なお休み(お子さんの病気や介護など)で補充が大変なこともある。そんな時にタイミーを活用するのもありかと感じた。」
-
「人材が足りてる時から、タイミー等で次の人材につなげておく事が大事だと学んだ」
※一方で、導入にあたっての手数料や人員換算上の施設基準についての冷静な論点も共有され、今後の検討課題となりました。
② テクノロジー(DX・AI・アバター等)による代替と業務削減
限られた人手を直接ケアに集中させるための、デジタル活用の可能性が注目されました。
-
「一般的な説明事項について、アバターを使って対応している部分が何か活用できないかなと考えるきっかけになった。」
-
「対人援助の部分についてはなかなか効率化は図れないが、書類整理や資料作りなどはAIを利用することで効率化が図れる」
-
「遠隔で看護師の意見を聞ける『ドクターメイト』というシステムがあるというお話を聞けて、参考になりました。」
③ 「相互理解」から始まるコミュニケーション・連携ルールの再構築
お互いの職種の「情報の偏り」や「悩み」を知ることが、明日からの連携を変える第一歩となります。
-
「薬剤師さんがあまり情報を持っていない事が分かった。これからは事あるごとに連絡しようと思います。」
-
「どの事業所も部署も人材不足は問題となっており、根本的な解決策はないかもしれないが、頑張ろうと思えました。」
5. 総括と今後の展望
今回の研修会は、釧路地域の現場が直面する危機感をデータで直視するだけでなく、先進事例から学び、グループワークを通じて「明日から自所で試せる具体的な負担軽減策」を模索する大変有意義な機会となりました。
個々の現場の課題を多職種との対話によって共有・昇華させることで、単なるため息に終わらせず、地域ネットワーク全体で生産性を高めていくための力強い第一歩となる研修会でした。今後は、これらの気付きを具体的なアクションへと落とし込み、継続的な情報交換の場を設けてまいります。
noteでもまとめていますので、よろしければご覧ください。
次回予告:第2回 研修会のご案内(9/3開催)
地域をくくる、未来をたぐる研修会、待望の第2回を開催いたします。
次回は、在宅医療の最前線で活躍し、世界的な経済誌『TIME』にて「影響力の大きいアジアのCEO(アジアの20人)」にも選出された守上佳樹 先生(医療法人双樹会 よしき往診クリニック 院長)を釧路にお迎えします。 ITと対面を融合させた最先端の多職種連携を、ぜひ一緒に学びましょう。
-
日時:2026年9月3日(木)19:00~20:40(受付18:30~)
-
場所:釧路市生涯学習センターまなぼっと 多目的ホール
-
費用:無料
-
内容:
-
【第1部】講義:「進撃のKISA2隊~北海道内釧路外、北海道外での多職種連携のプロジェクトの実際~」
-
【第2部】多職種グループワーク(明日から現場に取り入れられるヒントを見つけるワーク)
-
参加をご希望の方は、8月28日(金)までに下記フォームよりお申し込みください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
第2回 研修会お申し込みフォームはこちら