Date:2026.02.14
江戸の知恵、2026年の暮らし。投資とつながりで紐解く、新しい安心のカタチ

2026年。いわゆる「2025年問題」という大きな山を越えた今、医療・介護の現場は人手不足の深刻化やDX(デジタル化)の加速といった、さらなる転換期を迎えています。
効率化が叫ばれ、個人の自由が尊重されるこの時代に、私たちはどのようにして「自分らしい最期」や「地域の安心」を守っていくべきでしょうか。そのヒントを探るため、NPO法人CCLでは、江戸時代の豊かな相互扶助と先進的な経済文化を鏡に、これからの地域社会をどう「括(くく)る」べきかを考察する連載を行いました。
本記事では、その全4回の知恵を凝縮してご紹介します。
1. 長屋の知恵に学ぶ、2026年の「つながり」という暮らしの守り方
2026年の現代、私たちは「隣人が誰かを知らない」という自由を手に入れました。誰にも干渉されないプライバシーは一つの贅沢ですが、その代償として、私たちは「孤立」というリスクを抱え込んでいないでしょうか。
江戸時代の長屋を覗いてみると、そこには現代とは対極の、濃密な「近さ」があったと言われています。壁一枚隔てた隣人の生活音を共有し、醤油一つを貸し借りする。五人組といった制度も、管理の側面だけでなく、病や火事の際に一人の取りこぼしも許さない「生存のためのインフラ」として機能していたのかもしれません。
【問い】 もし、あなたが明日動けなくなったとき、その異変に「真っ先に気づいてくれる誰か」は、あなたの暮らしの圏内にいますか?
私たちは今、江戸の長屋にあった「おせっかい」という名の見守りコストを、現代の技術と情熱で再定義する必要があります。
2. 利回りを超えた「信頼」への投資。江戸の「講」に学ぶ未来の備え
最近、新NISAなどの普及により資産運用への関心が高まっています。しかし、江戸時代の人々はすでに、目に見える通貨以上に「目に見えない信頼」を積み立てる、洗練された投資家だったようです。
その象徴が、自発的な互助システムである「講(こう)」です。出し合ったお金が巡り巡って誰かを救い、自分が窮地のときにはそのネットワークが自分を救い上げる。彼らはコミュニティ全体の持続性を高めることを、最大の「利回り」と考えていたのかもしれません。
CCLへのご支援もまた、現代版の「講」への参加に近いものです。制度の隙間を埋める活動を支えることは、いつか自分や家族がその隙間に落ちそうになったとき、そこを「あらかじめ埋めておいて良かった」と思えるための、確かな未来への投資に他なりません。
3. 世界初の先物取引と「人生会議」。未来の不安を整理する情報の力
大阪の「堂島米会所」は、世界初の先物取引が行われた場所として知られています。不確実な未来の米価に対し、知恵と情報を駆使してリスクをコントロールしようとした江戸の商人たち。彼らの強かな姿勢は、私たちが推進する「人生会議(ACP)」の本質と重なります。
自分が意思を伝えられなくなったとき、どんなケアを受けたいか。それを元気なうちに話し合っておくことは、人生という不確実な相場に対する「安心の先取り」です。
未来に起こりうる最悪のシナリオに対し、対話という投資を行う。江戸の商人が「相場状」を読み込んだ情熱を、少しだけ「これからの生き方」の整理に向けることで、私たちは家族への最高のリスクヘッジを贈ることができるのではないでしょうか。
4. 仕事の分かち合いから、DX時代の「括る」デザインへ
連載の締めくくりは、これからの時代のチームのあり方です。 江戸時代には、困難なときこそ「仕事を分け合う」ことで地域全体のレジリエンス(生き延びる力)を維持する精神があったと言われています。
2026年、医療・介護DXが進み、情報のデジタル化は加速しています。しかし、テクノロジーが進むほど、最後に問われるのは「役割の分かち合い」という人の知恵です。
一人の生活者を支えるために、医師、看護師、ケアマネジャー、介護職が、それぞれの専門性をどう「括り」、分担するか。CCLが開発する「課題解決ワークシート」は、その結び目を作るための道具です。情報のやり取りという冷たい回路の先に、人の体温を感じる連携を構築すること。それが、私たちの目指す新しい「括る」カタチです。
結びに:江戸から続くバトンを次世代へ
江戸の知恵は、決して古臭い過去の遺物ではありません。それは、制度だけでは守りきれない「暮らしの隙間」を埋めるための、きわめて現代的なサバイバル術でもあります。
CCLは、釧路の地からこのバトンを次世代へと繋いでいきます。 一人ひとりの人生を、そしてこの地域を、共により良く「括って」いきませんか。
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