Date:2026.01.05

【開催終了】【2/17開催】「食べたい」をどう支える?事例から学ぶ看取りケアと多職種連携

「家に連れて帰りたい」というご家族の願い。 「それでも、食べたい」という患者様ご本人の意志。

開催報告(参加者数:76人)

事例報告

2026年2月17日に開催された本研修会では、住み慣れた地域で最期まで「自分らしく生きる」を支える多職種連携の在り方が議論されました 。事例発表では、釧路協立病院の看護師・小笠原摩紀氏により、誤嚥性肺炎を繰り返し嚥下機能が低下した患者様と、その家族の「家で食べさせてあげたい」という願いを叶えた、お家での「お食いじまい」のプロセスが報告されました

医学的視点では、誤嚥リスクを抑える「完全側臥位」の導入や、金曜夕方の依頼にも即応する訪問診療のスピード感が、在宅療養を継続する安心の土台となりました 。また、生活の視点では、本人の好物リスト作成を通じたきめ細やかな意思決定支援(ACP)が、本人の表情を輝かせ、家族の満足度を高める鍵となりました。さらに地域の視点では、制度の枠を超えた「顔の見える関係」が迅速な支援を可能にしました。多職種が専門性のレンズを重ね合わせ、一つのチームとして「くくる」ことで、患者様の一人ひとりの物語を最期まで支え抜く、釧路らしいまちづくりの形が示された研修となりました

研修会グループワーク詳細報告:多職種連携による「看取り」の再構築

1. 【医療のレンズ】医学的な常識を覆すアプローチ

医療職の視点からは、従来の「誤嚥防止=上体を起こす」という常識を覆す手法や、迅速な医療判断に注目が集まりました。

  • 完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)への驚きと期待

    • 通常なら身体を起こして食事をすることを考えるが、完全仰臥位(仰向けに近い側臥位)での嚥下が衝撃的であり、専門職ならではの視点であると感じた。

    • この手法はもっと広まるべきであり、ST(言語聴覚士)との強い連携によって在宅でも実施可能であることを学んだ。

    • 側臥位介助において、とろみの硬さを本人の状態に合わせ、食後の口腔ケアを確実に実施することの重要性が再認識された。

  • 「週末の空白」を埋める機動力

    • 金曜日の夕方に依頼があった際、即座に訪問診療が入ったことの素晴らしさが複数のグループで指摘された。

    • 医療的リスク(誤嚥性肺炎の再発など)を評価しつつ、土日を待たずに「今」動くことが、在宅復帰の成否を分ける。

  • 口腔ケアと嚥下評価の徹底

    • 「一口の質」にこだわるためには、口腔内の環境整備が不可欠である。

    • 急性期病院と在宅での嚥下評価の違いを埋め、医療とリハビリがタッグを組んで評価を最大限に活用する姿勢が求められている。

2. 【生活のレンズ】「最期の一口」がもたらすQOLの向上

生活者の視点からは、本人と家族が「家でどう過ごしたいか」という物語を支えることの価値が議論されました。

  • 「食べたい」と「看たい」の合致

    • 急性期病院で「食べられない」と評価されても、本人の「食べたい」という願いと、妻の「家で最期まで診たい」という覚悟が合致した時、奇跡的な時間が生まれる。

    • 帰宅した瞬間に本人の表情が良くなったという事実は、住み慣れた環境が持つ力を示している。

  • ACP(人生会議)の動的なプロセス

    • 一度の意思確認で終わるのではなく、状況に合わせて何度も本人の最終的な意思を確認し続ける必要がある。

    • 「寿命が短くなってもいいから食べたい」という本人の真意を、周囲がいかに拾い上げ、受容できるかが重要である。

  • お食いじまいを支える家族へのケア

    • 家族(特に妻)が「食べさせることで何かあっても自分のせいではない」と思えるよう、専門職が寄り添い、覚悟を支えるフォローが必要。

    • 看護師である親族の同席が家族の大きな心強さになったという指摘もあり、家族内のキーパーソンの存在も大きい。

3. 【地域のレンズ】制度を超えた「くくる(連携)」の仕組み

地域の視点からは、公的サービス(フォーマル)だけでは解決できない「つながり」の重要性が浮き彫りになりました。

  • 「Care Cafe(ケアカフェ)」から繋がる信頼関係

    • 日頃からケアカフェなどの活動を通じて顔の見える関係を作っていたことが、イレギュラーな依頼への即応力に繋がった

    • 「釧路でお会いして顔見知りになれる」研修会の場自体が、地域連携のインフラとなっている。

  • 制度の隙間を埋める資源の開拓

    • 家族がいない場合の在宅生活をどう支えるか、プライベートナースや町内会、民生委員との連携など、既存の介護保険外のサービスの必要性が議論された。

    • STが2週間訪問できる制度の活用など、知られていない専門知識を地域で共有する仕組みが必要。

  • 情報共有ツールの活用

    • 迅速な多職種連携のために、MCS(メディカルケアステーション)等のICTツールの活用を推し進めるべきとの意見があった。

4. 明日への具体的なアクション:明日からの実践ポイント

研修の学びを形にするため、明日から現場で取り組むべきことが集約されました。

  • 「好物リスト」の作成

    • 「今、何を食べたいか」を具体的に聞き出し、リスト化することで、ケアの目標を明確にする。

  • 「ひけらかす」精神での発信

    • 「うまくいった事例」を自分たちだけのものにせず、周囲に積極的に伝える(ひけらかす)ことで、地域のケアの選択肢を増やす。

  • 一人で抱え込まない相談文化

    • 困難なケースこそ「声に出して誰かに相談する」「早めにSOSを出す」ことを徹底し、多職種で知恵を絞る環境を作る。

開催概要

日時 2026年02月17日(火)  19:00 ~20:30
会場 釧路赤十字病院 4階講堂(釧路市新栄町21−14)
参加費用 無料
対象 医療・介護に携わる全ての方、地域連携にご興味のある方
講義内容

在宅療養の現場では、こうした切実な「願い」と、誤嚥性肺炎や身体機能の低下といった「医学的リスク」が背中合わせになることが少なくありません。

私たち専門職は、この葛藤の中でどのように意思決定を支援し、チームとして連携すればよいのでしょうか?

特定非営利活動法人CCLでは、来る2026年2月17日(火)、「事例から学ぶ、看取りケア研修」を開催いたします。

本研修会の見どころ

今回のテーマは、「患者・家族の願いを叶える在宅療養支援」です。 教科書的な知識だけでなく、実際の事例を通して「看取りケア」と「多職種連携」のリアルなプロセスを学びます。

 

1. 「お食いじまい」という選択のプロセスを知る 誤嚥性肺炎を繰り返す患者様の「食べたい」という思いを、多職種でどう支えたのか。医学的な管理と本人のQOL(生活の質)のバランスを考え、「お食いじまい」を経て穏やかな看取りを実現した事例をご報告します

2. 「多職種連携」を深めるグループワーク 事例発表の後は、「多職種連携で実現する看取り」をテーマにグループワークを行います。職種の垣根を越えて意見を交わすことで、明日からの連携に活かせるヒントが見つかります。

3. 地域の「横のつながり」をつくる 本研修会では、参加者が所属する機関・事業所の活動を紹介するPRの機会をご用意しています。チラシ等の配布も可能ですので、地域のネットワークづくりにぜひご活用ください。

講師紹介

小笠原 摩紀 氏 (釧路協立病院 在宅療養支援室 看護師)

訪問診療同行看護師として在宅療養支援に従事。また、ケアに携わる人たちの横のつながりと居場所を作るため「Care Cafe くしろ」の運営も行っています

講義資料 研修会の案内
参加締め切り 2026年02月10日(火) 17時00分まで

※先着順とさせていただきます。

※人数に達した時点で応募フォームを閉じさせていただきます。