Date:2025.10.20

心に響くメロディー【第2回】多様化するお葬式の音楽と著作権のポイント

前回は、お葬式で音楽が担う大切な役割についてお話ししました。今回は、最近の選曲の傾向と、多くの方が気になる「著作権」について、ポイントを解説していきます。

どんな曲が選ばれている?最近の動向

かつてお葬式の音楽といえばクラシックやオルゴール曲が主流でしたが、今は非常に多様化しています。

  • 故人様の好きな曲が一番 J-POP、演歌、ロック、洋楽など、ジャンルを問わず、故人様が生前こよなく愛した曲が選ばれるようになりました。美空ひばりさんの「川の流れのように」や、坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」などは、時代を超えて多くの方に選ばれています。
  • 心に沁みる「生演奏」 ピアノやバイオリン、フルートなどによる生演奏(献奏)を取り入れる方も増えています。プロの演奏家による演奏はもちろん、故人様のご友人やご親族が心を込めて演奏することもあり、CD音源とは違った温かさが会場を包みます。
  • 無宗教葬や「お別れの会」での役割 特定の宗教儀礼に基づかない無宗教形式のお葬式では、音楽が式の進行において中心的な役割を担うことも少なくありません。故人様ゆかりの曲をいくつか選び、スライドショーと共に流すことで、その人らしい、心のこもったお別れの会を演出できます。

教えて!音楽の「著作権」

「好きな曲をかけたいけれど、著作権は大丈夫?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。ここでは基本的なポイントをご説明します。

  • 基本的には手続き不要なケースが多い JASRAC(日本音楽著作権協会)の規定では、お葬式は「営利を目的としない」「参列者から料金をとらない」「演奏者に報酬が発生しない」という3つの条件を満たす場合、個人的な利用の範囲と見なされ、著作権の手続きなしにCDなどを再生することができます。
  • 注意が必要なケースとは? 一方で、以下のような場合は手続きが必要になることがあります。
    • プロの演奏家に報酬を支払って演奏を依頼する場合
    • 市販のCDの楽曲を使って、参列者に配布するための記念DVDなどを作成する場合
  • 一番安心なのは「葬儀社への相談」 多くの場合、葬儀社がJASRACと包括的な利用契約を結んでいます。そのため、葬儀プランの中にBGMサービスが含まれていれば、ご遺族が気にすることなく、様々な楽曲を安心して利用できます。不安な点やご希望がある場合は、まずは葬儀社の担当者に相談するのが最も確実で安心な方法です。

まとめ

お葬式における音楽は、故人様らしさを表現し、残された人々の心を繋ぐための大切な架け橋です。心を込めて選んだ一曲が、きっと忘れられないお別れのひとときを創り出してくれることでしょう。