Date:2025.09.22
墓じまいから永代供養まで 現代の家族に合った解決策【第2回】
前回は、お墓の承継が「相続」とは異なること、そして承継者が担う役割についてお伝えしました。
今回は、その負担から生まれる「継承者不在」の問題を解決するための、多様な選択肢をご紹介します。
お墓の承継は、必ずしも伝統的な方法にこだわる必要はありません。現代の家族の事情やライフスタイルに合わせた、さまざまな方法があります。
1. 承継が難しい場合の「墓じまい」という選択
「墓じまい」とは、現在のお墓を撤去し、遺骨を別の場所に移すことです。お墓が遠方にある、継承者がいない、管理費の負担が重いといった場合に、一つの選択肢となります。
墓じまいの進め方
- 親族での話し合い: 墓じまいとその後の供養方法について、親族全員で話し合い、理解を得ることが大切です。
- 新しい供養方法・納骨先の決定: 墓じまい後の遺骨の移転先を決めます。
- 現在の墓地管理者への相談: 寺院墓地の場合は、離檀(檀家をやめること)について丁寧に相談することが推奨されます。
- 行政手続き: 現在お墓がある自治体で、**「改葬許可証」**を取得する必要があります。遺骨を無断で取り出すことは法律で禁じられています。
- 墓石の撤去と遺骨の取り出し: 専門業者に依頼し、お墓を更地に戻します。
- 新しい供養先への納骨: 遺骨を新しい供養先に納めます。
手続きには時間と費用がかかるため、計画的に進めることが大切です。
2. 多様化する供養方法:継承者を必要としない選択肢
墓じまい後の遺骨の供養先として、近年はさまざまな選択肢があります。これらの方法は、承継者を必要とせず、管理の負担を軽減できるのが大きなメリットです。
- 永代供養墓(えいたいくようぼ): 寺院や霊園が遺族に代わって永続的に供養・管理してくれるお墓です。跡継ぎの心配がなくなります。
- 合祀墓(ごうしぼ): 複数人の遺骨を一緒に埋葬する形式。費用が安価な反面、一度納骨すると遺骨を取り出すことはできません。
- 個別墓: 一定期間は個別の区画で供養し、その後合祀される形式などがあります。
- 樹木葬(じゅもくそう): 墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする、自然志向の供養方法です。永代供養付きのものが多く、費用を抑えやすい傾向にあります。
- 納骨堂(のうこつどう): 遺骨を屋内の施設に安置します。駅近などアクセスが良い場所が多く、天候に左右されずにお参りができます。
- 散骨(さんこつ): 遺骨を粉末状にして、海や山などの自然に還す供養方法です。お墓が不要なため、費用や形式にとらわれず供養したい方に選ばれています。
- 手元供養(てもとくよう): 故人の遺骨の一部または全部を自宅で保管し、身近で供養する方法です。アクセサリーにして身に着けるなど、さまざまなスタイルがあります。
3. 専門家への相談という選択
お墓の承継問題は、法的なことや感情的なことが複雑に絡み合うため、個人や家族だけで解決することが難しい場合もあります。
複雑な問題に直面した際は、専門家への相談も一つの方法です。例えば、親族間の話し合いが難しい場合は弁護士に、行政手続きに不安がある場合は行政書士に相談するなど、状況に応じて専門家の知恵を借りることを検討してみてはいかがでしょうか。
「特定非営利活動法人CCL」は、皆さまがお墓の問題について考えるきっかけを提供したいと考えています。この記事が、ご家族で話し合うきっかけになれば幸いです。