Date:2025.05.04
マイナ保険証の利用と医療費の「見える化」について 社会保障審議会 医療保険部会
令和7年5月1日、社会保障審議会 医療保険部会(第194回)が開催され、主に「マイナ保険証の利用促進」と「医療費負担の見える化」について議論が行われました 。私たちの健康と医療制度に関わる大切な情報ですので、ポイントを分かりやすくご紹介します。
マイナ保険証をもっと便利に、安心して使うために
マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」の利用者は増えています。令和7年3月には、医療機関などでの利用件数が約6,643万件となり、オンライン資格確認全体の利用率(マイナ保険証利用件数 ÷ 全オンライン資格確認件数)は27.26%に達しました 。政府は、医療情報の連携による質の高い医療の提供や、手続きの効率化を目指し、さらなる利用促進に取り組んでいます。
マイナ保険証の利用にあたって、一つ注意点があります。それは、マイナンバーカードに格納されている「電子証明書」には有効期限があることです 。
- カード本体の有効期限: 発行から10回目(未成年者は5回目)の誕生日まで。
- 電子証明書の有効期限: 年齢に関わらず、発行から5回目の誕生日まで 。
マイナ保険証として利用するには、この電子証明書が有効である必要があります 。
有効期限が切れると、マイナ保険証としての利用だけでなく、マイナポータルへのログインやコンビニでの証明書交付などもできなくなります 。
有効期限が近づいたら・切れたらどうなる?
- 事前のお知らせ: 有効期限の2〜3ヶ月前を目処に、更新手続きのお知らせ(有効期限通知書)が郵送で届きます 。また、マイナポータル上でもお知らせが表示されるよう改善されました 。
- 更新手続き: お知らせが届いたら、お住まいの市区町村窓口で更新手続きを行ってください(手数料無料)。オンラインでの更新はできません 。
- 期限切れ後の猶予期間: もし更新を忘れて有効期限が切れてしまっても、期限切れ後3ヶ月間は、引き続き医療機関のカードリーダーで保険資格の確認が可能です 。ただし、過去の診療情報や薬剤情報の提供には同意できなくなります 。
- 資格確認書の交付: 期限切れ後3ヶ月が経過する前に、保険者(健康保険組合など)から「資格確認書」が自動的に送られてきます 。
- 3ヶ月経過後: 期限切れから3ヶ月を過ぎると、マイナ保険証での資格確認はできなくなります。その場合は、送付された「資格確認書」を使って医療機関を受診してください 。もちろん、電子証明書を更新すれば、再びマイナ保険証として利用登録して使えるようになります 。
大切なこと: 電子証明書の有効期限が切れても、健康保険の資格自体がなくなるわけではありません 。慌てずに、資格確認書を使うか、速やかに電子証明書の更新手続きを行ってください。
なお、令和6年12月2日からは従来の健康保険証は新規発行されなくなりますが、上記のような仕組みにより、引き続き医療は受けられますのでご安心ください 。
私たちの医療費はどう支えられている? ~医療費の「見える化」~
医療保険部会では、医療費がどのような財源で賄われているのか、国民に分かりやすく情報提供していく「見える化」の取り組みについても報告がありました 。
これは、医療保険制度への理解と信頼を深めることを目的としています 。
令和4年度のデータによると、以下の点が示されています。
- 自己負担割合: 私たちが医療機関の窓口で支払う自己負担額は、医療費全体の平均で約15%です 。
保険給付: 残りの約85%は医療保険制度から給付されています(これを「実効給付率」と呼びます)。
- 保険給付の財源: この約85%のうち、私たちが納める「保険料」が約53%、国や自治体の「公費(税金)」が約32%で賄われています 。
- 年齢による違い: 75歳以上の後期高齢者の方は、自己負担割合が平均約8%と低くなっています。一方、75歳未満の方は平均約19%です 。高齢化に伴い、全体の「実効給付率」は上昇傾向にあります 。
- 生涯医療費: 日本人が一生涯にかかる医療費は、平均で約2,800万円と推計されています(令和4年度時点)。このうち約85%、約2,300万円が医療保険から給付される計算になります 。
このように、日本の医療は、患者自身の負担、現役世代が中心となって納める保険料、そして税金(公費)によって支えられています。
まとめ
マイナ保険証は、電子証明書の有効期限に注意が必要ですが、期限切れ後も医療を受けられる仕組みが整えられています。
ご自身の有効期限を確認し、早めの更新を心がけましょう。
また、医療費の「見える化」によって、私たちが受けている医療が、多くの人々の保険料や税金によって支えられていることが分かります。この制度を持続可能なものにしていくために、私たち一人ひとりが医療費や制度に関心を持つことが大切です。