Date:2025.04.18

日本における「看取りケア」が教えてくれる、人生の最期の過ごし方

人をくくり、組織をくくり、地域を括り、自分らしく生きるを支える。

皆さん、こんにちは。特定非営利活動法人CCLです。
私たちは、「人をくくり、組織をくくり、地域を括り、自分らしく生きるを支える」を理念に、様々な活動を行っています。

さて、今回は、人生の最終段階におけるケア、「看取りケア」について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
私たちの社会は、高齢化が進み、多くの方が人生の終末期を迎える時代になりました。
そんな中で、「看取りケア」は、単に亡くなる瞬間を見守るだけでなく、その人らしい最期を迎えるための大切な支えとなるものです。

私たちの理念である「自分らしく生きるを支える」は、人生の最期まで変わりません。
今回は、日本の文化や価値観を踏まえながら、「看取りケア」が持つ本質的な価値と、私たちが大切にすべき倫理について、専門的な内容を分かりやすくお伝えしていきます。

「看取りケア」ってどんなケア?

「看取りケア」とは、近い将来、亡くなることが避けられないとされた方に対して、身体的な苦痛や精神的な苦痛を和らげながら、最期までその人らしく、尊厳をもって生活できるよう支援することです。
これは、単に命を長らえることだけを考えるのではなく、残された時間をどのように豊かに、その人らしく過ごせるかを重視する考え方に基づいています。

「看取り」という言葉には、「病人の傍にいて世話をし、死期まで見守る」という意味だけでなく、「人が亡くなっていく過程を傍に寄り添いケアし経験すること」や「人が亡くなったことを受け入れる過程」も含まれています。
つまり、「看取り」は、亡くなるという一点の出来事ではなく、そこに至るまでの連続的なプロセスであり、本人だけでなく、家族やケアを提供する人々との関係性の中で生まれるものなのです。

なぜ「看取りケア」が大切なのでしょうか?

「看取りケア」の最も大切な目的は、ケアを受けるご本人の気持ちや生活の質(QOL)を最大限に尊重し、無理な延命治療は行わず、心身の苦痛を和らげながら、穏やかな最期を迎えられるよう支援することです。

具体的には、以下のような価値観が「看取りケア」を支えています。
  • 尊厳の尊重 亡くなるという状況にあっても、その人を一人の人間として、その固有の価値と人格を最期まで尊重します。プライバシーを守り、清潔を保つことはもちろん、その人の意思や感情を尊重し、その人らしい関係性を維持することも大切です。
  • 自己決定の尊重 ご本人が、十分な情報を得た上で、医療やケアに関する選択を自分の意思で行う権利を尊重します。延命治療を希望するかどうか、どこで療養したいか、どのようなケアを受けたいかなど、ご本人の価値観に基づいた決定が基本となります。
  • 生活の質の重視 単に命の長さを求めるのではなく、残された時間をいかに豊かに、その人らしく過ごせるかを重視します。身体的な快適さだけでなく、精神的な平穏、社会的なつながり、そして心の充足感など、様々な側面から生活の質を高める支援を行います。
  • 安楽の確保 痛みや息苦しさといった身体的な苦痛や、不安や孤独感といった精神的な苦痛を可能な限り取り除き、穏やかに過ごせる状態を目指します。

これらの価値観は、私たちの理念である「自分らしく生きるを支える」と深く結びついています。
人生の最期まで、その人らしい生き方を尊重し、支えることこそ、「看取りケア」の本質と言えるでしょう。

どこで「看取りケア」は行われるの?

「看取りケア」は、病院だけでなく、特別養護老人ホームなどの介護施設、ホスピス、そしてご自宅など、様々な場所で行われるようになっています。
近年では、「住み慣れた場所で最期まで」というご本人の希望や、より自然な形での看取りを重視する考え方が広まっており、自宅での看取りを支援する体制も整いつつあります。

自分の気持ちを伝える大切さ アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

もしもの時のために、事前に自分の希望を伝えておくことの大切さが、近年注目されています。
それが、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」、通称「人生会議」です。

ACPは、将来、自分で判断ができなくなった場合に備えて、どのような医療やケアを受けたいか、あるいは受けたくないかを、あらかじめ家族や信頼できる人、医療やケアの専門家と話し合っておくことです。
これは、単に治療法を決めるだけでなく、自分が大切にしていることや、どのような最期を迎えたいかを共有するプロセスです。

ACPを通じて、ご本人の意思が尊重され、後悔のない最期を迎えることができる可能性が高まります。
私たちの理念である「自分らしく生きるを支える」という観点からも、ACPは非常に重要な取り組みと言えるでしょう。

「看取りケア」の現場で起こりうる倫理的な課題

「看取りケア」の現場では、様々な倫理的な課題に直面することがあります。例えば、延命治療を行うかどうか、痛みを和らげるためにどのような方法を選ぶか、ご本人の希望とご家族の希望が異なる場合どうするか、などです。

このような難しい状況においては、医療やケアに関わる人々が、ご本人の意思を尊重しながら、倫理的な原則に基づいて、最善の選択をすることが求められます。そのためには、ご本人、ご家族、そして医療・ケアチームの間で、十分な話し合いと情報共有が不可欠となります。

家族や地域とのつながり

日本の文化においては、家族の絆が非常に大切にされています。
「看取りケア」においても、ご家族はご本人にとって大きな心の支えとなります。
また、地域社会とのつながりも、安心して最期を迎えるためには重要な要素です。

私たちの理念である「人をくくり、組織をくくり、地域を括る」は、まさにこのようなつながりの大切さを表しています。
「看取りケア」を通して、私たちは、個人だけでなく、家族や地域社会全体で、人生の最期を支え合うことの重要性を改めて認識させられます。

これからの「看取りケア」

日本における「看取りケア」は、法的な枠組みやガイドラインに基づき、日々進化しています。
大切なのは、一人ひとりの価値観や希望を尊重し、その人らしい最期を迎えることができる社会を築いていくことです。

特定非営利活動法人CCLは、これからも「人をくくり、組織をくくり、地域を括り、自分らしく生きるを支える」という理念のもと、誰もが安心して、自分らしく人生の最期を迎えることができるよう、様々な活動を通じて貢献していきたいと考えています。