Date:2025.05.10

【もっと知りたい!】認知症基本法ってなに? 私たちの暮らしはどう変わるの?

「認知症」って、少し難しいイメージがありますか?
でも、これからの日本で、誰にとっても、とても身近なことなんです。

もし自分や大切な家族が認知症になったら…?
そんな時でも、安心して、希望を持って、自分らしく暮らせる社会であってほしいですよね。

そのための大切なルールとして、2024年1月1日に「認知症基本法」(正式名称:共生社会の実現を推進するための認知症基本法)という法律がスタートしました!

この新しい法律が目指す「みんなが暮らしやすい社会」について、私たち特定非営利活動法人CCLと一緒に、もっと分かりやすく見ていきましょう。

なぜ「認知症基本法」ができたの?

ひと言でいうと、「認知症になっても大丈夫だよ」と、みんなが安心して希望を持って暮らせる社会を作るためです。

今の日本では、高齢の方が増えるとともに、認知症と診断される方も増えています。
そこで、認知症ご本人やご家族が、地域の中で孤立することなく、尊厳(その人らしさ)を大切にされながら暮らしていけるように、国や地域、そして私たち一人ひとりが協力していくための「基本的な約束ごと」を決めたのが、この法律なんです。

最終的なゴールは、認知症のある人もない人も、みんながお互いを大切にし、支え合って、自分らしく輝ける「共生社会」を作ることです。

法律が目指す「7つの約束」~こんな社会になったらいいな~

この法律では、目指す社会のイメージとして、7つの大切な考え方(基本理念)を掲げています。

  1. 「その人らしさ」を大切に! → 認知症があっても、一人の人間として尊重され、自分の気持ちで生活できる社会。
  2. みんなで認知症を正しく知ろう! → 「認知症ってこういうことなんだ」と、みんなが正しく理解できる社会。
  3. 暮らしやすく、参加しやすく! → 生活の中の不便(バリア)をなくし、誰もが安心して地域で暮らし、色々な活動に参加できる社会。
  4. 必要なサポートを、いつでも、どこでも! → 本人の気持ちを大切にしながら、医療や福祉のサポートが必要な時にきちんと受けられる社会。
  5. 本人も家族も、みんな安心! → 認知症のご本人だけでなく、支える家族など周りの人も安心して暮らせるようにサポートがある社会。
  6. より良い未来のために、研究を進めよう! → 認知症の予防や治療、ケアの方法などの研究を進め、その成果をみんなで活かせる社会。
  7. みんなで協力して取り組もう! → 教育、まちづくり、仕事、健康、医療、福祉など、色々な分野が力を合わせて取り組む社会。

私たちには何ができる?

「法律」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、私たち一人ひとりにできることは、実はとてもシンプルです。

  • まずは関心を持つこと 「認知症ってどんなことかな?」と少しだけ気にしてみる。
  • 正しく知ろうとすること 誤解や偏見を持たず、正しい情報を知ろうと努める。
  • 優しい気持ちを持つこと もし周りに困っている人がいたら、「何かお手伝いしましょうか?」と声をかける勇気を持つこと。

特別なことじゃなくて大丈夫。一人ひとりの小さな心がけが、社会全体を温かくしていきます。

これから、具体的にどう変わっていくの?

この法律に基づいて、国や自治体は、私たちの暮らしをより良くするための様々な取り組み(施策)を進めていきます。

  • 【学びの機会がもっと身近に!】 学校や地域で、認知症について分かりやすく学べる機会が増えます。
  • 【お出かけや買い物がもっと安心に!】 バスや電車に乗りやすくなったり、お店で安心して買い物ができるように、まちのバリアフリー化や、お店の人への研修などが進められます。地域での見守りも強化されます。
  • 【「働きたい」気持ちを応援!】 認知症になっても、意欲や能力に応じて働き続けられたり、新しい仕事を見つけやすくなるように、会社への理解を促す取り組みが進みます(特に、65歳未満で発症する若年性認知症の方への支援も大切にされます)。
  • 【自分のことは自分で決めやすく!】 大切なことを自分で決められるように、分かりやすい情報提供や、意思決定をサポートする仕組みづくりが進みます。消費者トラブルに巻き込まれないための注意喚起なども行われます。
  • 【医療や福祉のサポートが充実!】 どこに住んでいても、その人に合った医療やケアが受けられるように、専門のお医者さんや相談機関が整備されます。医療・介護・福祉などが連携して地域で支える「地域包括ケアシステム」 もさらに進められます。 
  • 【困ったときの相談先がもっと分かりやすく!】 認知症のこと、介護のことなど、様々な悩みを気軽に相談できる窓口が整備され、関係機関が連携してサポートします。本人や家族同士が交流できる場への支援も行われます。
  • 【未来への希望につながる研究を推進!】 認知症の原因を突き止めたり、より良い予防法や治療法、ケアの方法を見つけるための研究が進められます。
  • 【認知症の予防や早期発見にも力を入れる!】 「認知症にならないように気をつけたい」「もしかして…と思ったら早めに相談したい」という方のために、予防に関する正しい情報提供や、早期発見・早期対応のための取り組みが進みます。

みんなで進めるための仕組み

  • 計画づくり 国が大きな計画を作り、都道府県や市町村も、地域の実情に合わせて具体的な計画を作ります(作るように努めます)。計画作りには、認知症のご本人やご家族の意見がしっかり反映されます。
  • 推進本部 国には、総理大臣をリーダーとする「認知症施策推進本部」が作られ、これらの取り組みを力強く進めていきます。

覚えておこう!9月21日は「認知症の日」

この法律では、毎年9月21日を「認知症の日、9月を「認知症月間」と定めています。
これは、みんなで認知症について考え、理解を深めるための大切な日・月間です。この時期には、色々なイベントも企画されるので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ「希望ある未来を、一緒に」

認知症基本法ができたからといって、すぐに社会の全てが変わるわけではありません。 でも、この法律は、私たちが目指すべき社会の姿を示してくれた、大切な道しるべです。

私たち特定非営利活動法人CCLも、この法律の心を大切に、認知症に関する正しい情報をお届けしたり、地域で安心して暮らせるためのお手伝いをしたりすることで、誰もが希望を持てる温かい社会づくりに貢献していきたいと考えています。

一人ひとりがこの法律に関心を持ち、認知症について考え、できることから行動する。その積み重ねが、きっと「共生社会」という素敵な未来につながっていくはずです。

私たちと一緒に、はじめの一歩を踏み出してみませんか?