Date:2025.05.01
知っていますか?あなたの街の頼れる相談窓口「地域包括支援センター」
「最近、親の物忘れが気になる」「一人暮らしの高齢の隣人さんが心配」「介護保険サービスを利用したいけど、どうすればいいの?」
高齢者の方やそのご家族、地域住民の方々が抱える、健康、福祉、介護に関する様々な悩みごと。どこに相談したら良いか分からない、ということはありませんか?
そんな時に頼りになるのが、あなたの街の地域包括支援センターです。
地域包括支援センターってどんなところ?
地域包括支援センターは、高齢者の皆さんが住み慣れた地域で、尊厳あるその人らしい生活を安心して続けられるように、保健・医療・福祉など様々な面から総合的に支えるための拠点です。[P.15, P.19] 市町村や、市町村から委託を受けた法人が運営しています。[P.178]
高齢化が進む中で、介護や医療が必要になっても、あるいは一人暮らしや認知症になっても、地域で支え合いながら暮らしていける仕組みづくり、いわゆる「地域包括ケアシステム」の実現が目指されています。[P.1] 地域包括支援センターは、このシステムの中心的な役割を担っています。[P.19]
地域包括支援センターの主な役割
地域包括支援センターでは、主に以下の4つの業務を行っています。[P.19]
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介護予防ケアマネジメント [P.19, P.180]
- 要支援1・2と認定された方や、基本チェックリストで支援が必要と判断された方が、できる限り要介護状態にならないように、介護予防サービスの利用計画(ケアプラン)作成などを行います。
- 元気なうちから介護予防に取り組むための情報提供や教室の案内なども行います。
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総合相談支援 [P.19, P.181]
- 高齢者ご本人やご家族、地域の方々からの、介護に関する相談だけでなく、健康や福祉、医療、生活に関する様々な相談に対応します。
- 必要なサービスや制度、関係機関につなぐお手伝いをします。
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権利擁護 [P.19, P.181]
- 高齢者の皆さんが安心して生活できるよう、権利を守るための支援を行います。
- 具体的には、成年後見制度の活用支援、高齢者虐待の早期発見・防止、消費者被害の防止などに取り組みます。
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包括的・継続的ケアマネジメント支援 [P.19, P.181-182]
- 地域のケアマネジャーさんが円滑に仕事を進められるように、後方支援や困難事例への助言を行います。
- 医療機関や介護サービス事業者など、関係機関との連携体制を整え、高齢者を地域全体で支えるネットワークづくりを進めます。
「地域ケア会議」で、もっと暮らしやすい地域へ
地域包括支援センターの活動の中で、特に重要な役割を果たしているのが「地域ケア会議」です。[P.1]
これは、地域包括支援センターや市町村が主催となり、センター職員、ケアマネジャー、医師、看護師、リハビリ専門職、民生委員、行政職員、そして時には地域住民の方々など、様々な立場の人たちが集まって開かれる会議のことです。[P.20, P.183]
地域ケア会議の目的は?
地域ケア会議は、単に個別の困りごと(ケース)について話し合うだけではありません。大きく分けて、以下の2つの目的を持っています。[P.21-22]
- 高齢者一人ひとりへの支援をより良くする
- 個別の課題解決 支援が難しいケースなどについて、多職種の視点から最適な支援策を検討します。[P.22-23]
- ケアマネジャー支援 ケアマネジャーのスキルアップを支援し、ケアプランの質の向上を目指します。[P.21-22]
- 高齢者を支える地域(社会基盤)を整える
- ネットワーク構築 会議を通じて、地域の様々な専門職や機関、住民同士の顔の見える関係を作り、連携を強化します。[P.22-23]
- 地域課題の発見 個別のケースを検討する中で、地域に共通する課題(例:「認知症の一人暮らしの方の見守りをどうするか」「買い物が困難な高齢者への支援が必要」など)を見つけ出します。[P.22-23]
- 地域づくり・資源開発 発見された地域課題を解決するために、地域に必要なサービス(見守り活動、配食サービス、移動支援など)や支え合いの仕組みづくりを検討・推進します。[P.22-23]
- 政策形成 地域の課題解決に必要な取り組みについて、行政に働きかけ、市の計画に反映させるなど、具体的な政策につなげていきます。[P.22-23]
このように、地域ケア会議は、一人ひとりの困りごと解決(ミクロ)から始まり、その積み重ねによって地域全体の課題解決やより良い地域づくり(マクロ)へとつなげていく、重要な役割を担っているのです。[P.21-22, P.26]
他の会議との違いは?
- サービス担当者会議 主にケアマネジャーが開催し、個別のケアプランについて話し合います。地域ケア会議は、ケアプランだけでなく、地域全体の課題解決やネットワークづくりも視野に入れます。[P.26]
- 事例検討会 主に専門職のスキルアップ(研修)を目的とします。地域ケア会議は、スキルアップも目指しますが、それ以上に具体的な課題解決や地域づくりに重きを置いています。[P.28]
私たちにできること
地域包括支援センターは、私たちにとって最も身近な相談窓口の一つです。
- 困ったときは、まず相談! ご自身のこと、ご家族のこと、地域のことなど、高齢者の生活に関わることで困ったり悩んだりしたら、まずは気軽に地域包括支援センターに相談してみましょう。専門職が親身になって話を聞き、解決への道筋を一緒に考えてくれます。
- 地域ケア会議への関心 私たちが直接会議に参加することは少ないかもしれませんが、地域ケア会議が、自分たちの暮らしやすい地域づくりにつながっていることを知っておくことが大切です。
- 地域での支え合い 地域の見守り活動への参加や、近所の高齢者への声かけなど、私たち一人ひとりができる範囲で地域を支える活動に参加することも、地域包括ケアシステムを支える大きな力になります。
地域包括支援センターは、皆さんと一緒に、誰もが安心して暮らせる地域づくりを目指しています。ぜひ、お気軽に活用してください。
- この記事は、一般財団法人 長寿社会開発センター発行「地域ケア会議運営マニュアル(平成25年3月)」を参考に作成しました。