Date:2025.04.24

相続から始める「人生会議」 大切な家族へ、想いを繋ぐ準備

人生の終末期について考える「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」は、ご自身が望む医療やケアについて、前もって考え、家族や信頼できる人と話し合う大切なプロセスです。厚生労働省もその普及啓発に力を入れています。
しかし、「もしもの時の医療や介護」と聞くと、どうしても現実味が薄く、具体的にどう考えたら良いか戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特定非営利活動法人CCLでは、医療や介護のことは、実際にその時にならないと想像しにくいというお気持ちも理解しています。
癌になるかもしれない、認知症になるかもしれない、あるいは介護が必要な状況になるかもしれない。未来のことは誰にも分からず、多くの分岐点があるため、具体的にイメージするのは難しいものです。

そこで、私たちは、もっと身近なテーマから「人生会議」を始めてみることを提案します。
それは、「財産」のことです。
ご自身の財産、不動産などの相続について考えることは、ご自身だけでなく、残される家族の将来を真剣に思うきっかけになります。
プラスの財産はもちろん、もしかしたらあるかもしれないマイナスの財産も含めて、きちんと整理しておくことは、家族への大切なメッセージとなるでしょう。

 

なぜ財産から「人生会議」を始めるのが良いのか?
具体的なイメージを持ちやすい。医療や介護の状況は多岐にわたりますが、財産は目に見える形で存在するため、具体的なイメージを持ちやすく、話し合いのきっかけにしやすいと考えられます。
家族への思いを形にする。誰に何をどのように残したいかという想いは、家族への愛情の表れです。財産について考えることは、その想いを明確にする第一歩となります。
将来の安心に繋がる。相続について事前に話し合っておくことで、将来、家族間の争いを防ぎ、安心して生活できる基盤を作ることができます。

財産整理から「人生会議」へ
財産について考える中で、「もし自分が 判断能力が低下してしまったら、この財産はどうなるのだろう?」「家族は困らないだろうか?」といった疑問が生まれてくるかもしれません。これは、「もしもの時」の医療やケアについて考える入り口となります。

 

厚生労働省の「人生会議」のパンフレット でも、「あなたが大切にしていることや望んでいること、どこでどのような医療・ケアを受けたいかを、自分自身で前もって考え、周囲の信頼する人たちと共有しておくこと」が大切だとされています。
財産について考えることは、まさに「あなたが大切にしていること」を明確にし、それを「周囲の信頼する人たち」と共有する第一歩と言えるでしょう。

 

CCLからのご提案
特定非営利活動法人CCLでは、財産整理をきっかけに、より広い意味での「人生会議」へと進んでいくことを応援しています。
まずは、ご自身の財産について、ご家族と話し合ってみませんか? その中で、「もしもの時」の医療やケアについても、少しずつ話題を広げていくことができるかもしれません。
現在制作中のリーフレット「愛する家族へ、未来への贈り物~ACPで想いを残す~(仮称)」も、皆様がACPについて考えるきっかけとなれば幸いです。
このリーフレットは、将来の「もしも」に備え、お金のこと、医療や介護などを前もって考え、家族や信頼できる人と話し合っておくことの重要性を伝える予定です。

まとめ
「人生会議」は、決して難しいことではありません。
まずは、身近な財産のことから考え始め、ご自身の想いを家族と共有していくことから始めてみませんか。
それは、あなたと大切な家族の未来を繋ぐ、かけがえのない準備となるはずです。